アバルト124スパイダーとマツダ・ロードスターの違いは?スペックの差はあるのか?

フィアット124スパイダーはマツダ・ロードスターをベースに開発された兄弟車で、広島県のマツダ宇品工場で生産され、北米や欧州へ輸出し販売されるモデルです。

日本国内ではフィアット500のチューニングブランドとしても有名な「アバルト」が手掛け、2016年10月から販売されています。

日伊合作のアバルト124スパイダーは、アバルトの名に恥じないモデルになっているのか気になるところです。

ベースとなったロードスターと比較しながら解説します。

フィアット124スパイダーがベースモデル

初代フィアット124スパイダーは、ピニンファリーナのデザインによる流麗なボディを持つ2ドアオープンカーです。

フィアット124セダンをベースに開発され、1967年から20年間15万台以上販売されています。

フィアット・クライスラーグループ(FCA)とマツダの技術提携は、当初ロードスターをベースにアルファロメオ・スパイダーを開発するとして発表されましたが、アルファロメオがハイブランドへ移行するFCA側の方針変更などがあり、最終的にフィアット124スパイダーとして開発されました。

アバルトはフィアットのモータースポーツ部門を担当しラリーなど、レース用競技車の開発を担当するとともに、市販車ではフィアット、アルファロメオやランチアなどの高性能モデルの開発も行っています。

アバルト124スパイダーはフィアット124スパイダーをベースに、アバルトがエンジンをチューニングしました。

トルセンLSDを装備し、ブレンボのブレーキやビルシュタインのサスペンションなどを組み込んだ高性能バージョンです。

ステアリング中央のFIATマークを除けば、ボンネットエンブレムなどボディ各部やインテリアには、アバルトのサソリのマークが配置されています。

全世界に先がけて最も早く日本で発売され、歴史あるアバルトブランドとしては初めてのオープンスポーツカーです。

何故日本ではアバルト124スパイダーだけなのか

アバルト124スパイダーのベースとなった、フィアット124スパイダーは日本で正規販売する予定はありません。

フィアット124スパイダーは北米と欧州で販売されていますが、北米版ベースモデルの「classica」が$25,990(1ドル110円で約286万円)、上級グレードの「Lusso」が$28,490(約313万円)ロードスターの249万円~320万円と価格がバッティングします。

小型2シーターオープンカーの国内市場は大きくは無いので、共食いを防ぐのが導入されない理由の一つです。

アバルト124スパイダーは6MTが388.8万円6ATが399.6万円とロードスターよりも70~100万ほど高く、アバルトによる高性能版という付加価値もあり、ロードスターとは棲み分けができます。

また輸入車の中でもメルセデスAMGやルノースポールなどスペシャルモデルが、国内で人気があるのも一つの理由です。

アバルトもイタリア本国以外で最も売れているのが日本で、知名度の低いフィアットのベーシックグレードよりもアバルトのネーミングの方が販売面で期待できるという判断もあります。

アバルト124スパイダーはロードスターとの違いは?スペックの差はあるのか?

 

ロードスターと大きく異なるのは、エクステリアデザインです。

シャシーやフロント&サイドウィンドウ、幌などはロードスターと共通ですが、デザインはフィアット側で行われボディパネルは1枚も同じものはありません。

六角形のメッシュグリルと奥まった卵型のヘッドランプでにらみの効いたフロントマスク、ドアからリアフェンダーにかけてキックアップする造形、大きめのリアランプなどでロードスターとは大きく違います。

初代フィアット124スパイダーのイメージを残すデザインで、モダンなロードスターに対し全体的にクラシカルな雰囲気です。

カラーは、レッドとホワイト、パールホワイトの三色で、ボンネットとトランクリッドをマットブラックで塗装、またはラッピングしたヘリテージルックも選択できます。

パワーユニットはロードスターの1.5リッター自然吸気エンジンではなく、FCAが製造する1.4リッターターボのマルチエアと呼ばれるエンジンを輸入し日本で搭載します。

エンジンスペックの違いは以下の通りです。

アバルト124スパイダーロードスター
エンジン1.4L直4DOHCターボ “マルチエア”ガソリンエンジンSKYACTIV-G 1.5L直4 DOHC直噴ガソリンエンジン
パワー170ps(125kW)/5500rpm131ps(96kW)/7000rpm
トルク25.5kg-m(250Nm)/2500rpm15.3kg-m(150N・m)/4800rpm
燃費13.8km/L(6AT:12.0km/L)17.2km/L(6AT:18.6km/L)
使用燃料無鉛プレミアムガソリン無鉛プレミアムガソリン

1.4LターボエンジンはロードスターRFや北米モデルに搭載する2.0Lエンジン(158PS/20.4kg-m)よりもパワフルで、アバルトのチューニングでフィアット版よりも10PSほどアップしています。

最近のダウンサイジングターボの様に低回転からトルクが連続的に発生するタイプではなく、若干のターボラグがあり中~高回転以上でパワーとトルクが出るユニットです。

2,000回転以下のトルクが薄いので、マニュアルミッションでは発進時のエンストに気をつかう必要があります。

イージードライブ派にはシフトチェンジのスムーズな6速オートマチックミッションも準備され、ステアリングにはパドルシフトが付くのでスポーティーな走りも可能です。

ホイールベースは共通ですが、ロードスターよりも全長で145mm、全幅で5mm大きく車重も1,130kg100kgほど重くなっています。

エンジンのパワーアップ分の方が重量増よりも大きく、運動性能の要ともいえる前後重量配分はロードスターと変わらないので動力性能ではアバルト124スパイダーが上です。

シートはアバルトのスポーツシートでサポートも良好、ヒール&トゥがしやすいペダルレイアウトやストロークの短いシフトレバーなどはロードスターの美点を引き継いでいます。

パワーステアリングの設定もオリジナル、ブレンボのブレーキも踏力でのコントロールが容易で、スポーツ走行に向いたフィーリングです。

フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクのサスペンション形式もロードスターと同一になります。

ただしロードスターRSに装着されるビルシュタイン製ダンパーとは仕様が異なり、スポーツカーとしての回頭性の良さだけでなく、グランツーリスモとしての安定性も兼ね備えた足回りです。

ロードスターはエンジンの出力をあえて低く抑え、絶対的な速さよりもアクセルを思いっきり踏み込んで、軽快にクルマとの一体感を楽しむセッティングになっています。

アバルト124スパイダーはハイパワーな分、ステアリングやブレーキフィールなどは軽快感よりも重厚感があり、しなやかでバランスのとれた乗り味です。

ロードスターをベースにしたデザイン違いだけのモデルにとどまらず、ドライブフィールも価格差相応に差別化しています。

まとめ

 FCAとマツダの協業によるアバルト124スパイダーは、日本車の信頼性を持ちながらエクステリアや乗り味でイタリア車の魅力を味わえる車です。

一方内装のデザインはロードスターと同一で、イタリア車らしい遊び心のある洒落たデザインではありません。

素材やエンブレムで差別化されていますが、どちらかといえば質実剛健なマツダデザインで、運転席に座ったときの高揚感が薄いのは残念です。

また従来のアバルトチューニングのような、乱暴ともいえる加速や荒々しいステアリングフィールは無く、エンジン音を除けばジェントルな仕上がりになっています。

サソリの毒は薄めなので、スパイシーな「アバルト」を期待すると裏切られるかもしれません。

それでもターボエンジンによる余裕の走りや質の良いシート、ブランド代を考えても、ロードスターとの価格差は納得できます。

北米でのアバルト124スパイダーが500万円以上することや、ロードスターを購入してチューニングすることを考えればお買い得な価格です。

ロードスターのアーティスティックでモダンな雰囲気よりもクラシカルな小型オープンスポーツカーが好みであれば、アバルト124スパイダーがおすすめです。

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