3度の飯よりクルマが好き!

新型アルト軽量化から見る、車のこれから!本当に安全なのか検証

altworks

まずは下表をご覧ください。

車種 車両重量 燃費(JC08)
スズキ アルトL 650kg 37.0km/L
スズキ アルトエコ-L 710kg 35.0km/L
ダイハツ ミラエース-D 730kg 35.2km/L

2014年12月に発売された新型アルトで燃費は37.0km/Lを達成。これは先代アルトエコをさらに上回っており、ガソリン車No.1の数値です。

特筆すべきは車体重量であり、アルトエコと比較すると60kgの軽量化がなされています。

対抗するダイハツミライースと比較しても大幅に車体重量が軽くなっていることがわかりますね。

自動車の燃費は車体重量が100kg軽くなると1km/L良くなると言われている為、新型アルトにおける燃費の向上効果は車体軽量化のみによるものではなく、様々な新技術が詰まったものといえます。

しかし車体重量が軽くなれば『走り』の性能も良くなることが期待できますが、対して安全性やカーブでの操舵安定性が悪化する事が考えられるのです。

710kgの車体重量を更に60kgもの軽量化にどうやって成功したのか、ここまでの軽量化を行って乗り心地や安全性への影響はないのでしょうか?

気になる疑問を掘り下げて説明します。

どうやって軽量化を達成したのか

自動車の車体の大部分は鉄を主成分とする鋼板から構成されています。

ほぼ鉄でできている車体を軽量化するためには以下のような手段が用いられているのです。

1.鋼板の厚さを薄いものにする

簡単に言えば、厚さ0.8mmの鋼板をすべて0.7mm厚にすればそれで800kgの車体重量は700kgになるわけです。

当然のことながら、自動車の強度や剛性を考えるとそう簡単にはいかないわけですが、いかに強度を維持しつつ鋼板厚みを下げるかということが軽量化には大きなポイントとなります。

2.部品を少なくする

衝突安全性や操舵安定性など車体のあらゆる部分には車体剛性を高めるべく補強部品が適用されています。

衝突安全性の面で重要な部位では3枚合わせ、4枚合わせでの鋼板部材で強度を高める構造です。

またこういった部位では鋼板の厚みも厚いものが使用されていますので、補強部材を削減出来れば軽量化に大きな助けとなります。

3.鋼板をアルミや樹脂などの軽量素材に変更する

鋼板と比較して軽い素材に変更することで軽量化を達成することが出来ます。

アルミ合金はエンジンフードパネルでの適用が多いですが、コスト面から汎用車への適用は広がりません。

樹脂素材は近年バックドアパネルやフェンダーなどでの展開が進んでおり、軽量化に対する目玉的な存在とも言えるでしょう。

新型アルトにおいてもこれら全ての手法が用いられています。

車体デザインの変更によって部品点数を少なくし、樹脂部品を新たにフロントフェンダーやロアフロントクロスメンバーに採用しており、これらにより60kgもの軽量化が達成できたわけです。

但し軽くしただけでは安全性や乗り心地への影響が懸念されます。どうやって安全性を落とさずに軽量化することが出来たのでしょうか?

安全性を落とさない軽量化手法とは

下図はスズキのホームページに掲載されているアルトのボディー構造です。

出図:スズキホームページより

suzuki_alt_body

図にあるように高張力鋼板・超高張力鋼板というものが新型アルトでは多用されています。

簡単に解説しますと、最も多く用いられている鋼板は軟鋼板と呼ばれその引っ張り強度が270MPa級というものです。

これは下図のような幅1cm厚み1mmの鋼板を両側に引っ張ったとき275kg以上の力で破断(ちぎれる)ということを意味しています。

suzuki_alt_body_plate

高張力鋼板の場合、440MPa,590MPa,780MPa級などがあり、超高張力鋼板では980MPa級やそれ以上のものがあります。

すなわち超高張力鋼板では通常の軟鋼板に比べて3倍以上の引っ張り強度があり、980MPa級の場合わずか幅1cm厚み1mmの鋼板を引きちぎるのに1t以上の力が必要なのです。

これらの高張力鋼板を適切に配置することで、従来の軟鋼板と比較して鋼板の厚みを薄くしたり、補強部品を減らしても剛性を維持して軽量化することが可能になっています。

アルトは超高張力鋼板を側面のセンターピラー(中央の柱)周辺に配置することで側面からの衝突対策として強度を確保しました。

フロア部分にも多くの高張力鋼板が使用されていますが、これはねじり剛性など車体剛性を高めるためのもので、特に軽量化においては重要な部分と言えます。

車体重量が軽くなると同じ速度で走っても車体が受ける力の影響が大きくなりますので、車体剛性を上げることで走行安定性を高めているのです。

コスト維持対策は?

一見すると良い事ばかりに見える高張力鋼板ですが、通常の鋼板に比べてコストが高いという難点があります。

これまであまり軽自動車に多く使用されることがなかったのも、コスト面の問題が大きいからでしょう。

新型アルトにおいては高張力鋼板を多用しながら、適材適所の配置を行うことで従来あった補強部品を削減でき、トータルとしてコストを下げています。

まとめ:今後の軽自動車から目が離せない

2015年6月に発売された新型アルトラパンでは先代に比べて120kgもの軽量化を達成し、35.6km/Lの燃費を達成しています。

基本となるプラットフォームが出来たことで、今後のスズキからは続々と軽量な車が現れてくるでしょう。

対抗するメーカーとしては、ダイハツからミライースのフルモデルチェンジが2016年後半に予定されており、燃費は37.7km/L、車体重量は650kgという軽量化を達成している模様です。

今後燃費を良くしつつ、かつ軽量化によって走り性能も味わえる軽自動車の戦いから目が離せそうにありません。

スポンサーリンク