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今のクルマはナゼ重たい?ライトウェイトが消えていく理由

地球温暖化の防止のため、CO2排出量の削減が望まれています。

自動車から排出されるCO2量は輸送機全体の90%程度を占めている為、自動車から排出されるCO2の削減や燃料消費量削減の取り組みが行われているのです。

燃費基準は車両重量によって設定されており、例えば車両重量1,300kgの車を例にとると、2010年で13.0km/L、2015年で17.2km/L、2020年で20.3km/Lとより厳しい目標が設定されています。

昨今燃費向上のための取り組みとして自動車の軽量化ということのニュースを聞かれることも多いでしょう。

車両重量が100kg軽くなった場合、燃費が1km/L向上すると言われているので、昔の車に比べて今の車は軽いのかと言うと実際には重くなっています。

自動車メーカーの技術者は軽量化に取り組んでいるのに何故なのでしょうか。

代表的な理由を列記しますと、

  1. ユーザーが大きい車を好むようになってきている
  2. 燃費向上の選択肢としてのハイブリッド車や電気自動車の台頭
  3. 燃費基準以外の様々な規制に対する対応

それぞれについてデータを見ながら解説してみたいと思います。

理由1:ユーザーが大きい車を好むようになってきている

グラフ

出典:財団法人自動車検査登録情報協会「諸分類別自動車保有車両数」より

上のグラフは環境省より発表されている乗用車の保有車両における車両重量別のデータです。

中ほどの緑の部分および上の方の紫の部分の割合が年々多くなってきていることが分かります。

オレンジ色の●印で表したのが全体の車両重量平均値で、年々増加傾向にあることがわかりますね。

理由としては家族など大人数で乗ることのできるミニバンのような乗用車が増えてきたことや、車室内の空間を快適に過ごせるよう車両サイズ自体が大型化していることなどがあげられます。

トヨタ・プリウスを例に挙げますが、下表のようにモデルチェンジ毎に大型化している傾向が見て取れます。

プリウス 全長 全幅
初代 4,310mm 1,695mm
2代目 4,445mm 1,725mm
3代目 4,460mm 1,745mm
4代目 4,540mm 1,760mm

日本国内での新車販売台数が頭打ちになっている今、快適に乗ることのできる車をより求めている事への表れでしょう。

理由2:燃費向上の選択肢としてのハイブリッド車や電気自動車の台頭

最近ではハイブリッド車が新車販売台数の20%を占めるようになってきています。

まだ高いとはいえ、以前と比較してガソリン車との価格差が小さくなってきていることや燃費・減税といったランニングコスト、また環境への配慮といった面で購買意欲が高まってきていると考えられますね。

同じ車種でガソリン車とハイブリッド車を比較してみると下表のようになります。

車種 動力仕様 車両重量 排気量
カローラアクシオ 1.5X ガソリン車 1,090kg 1,496cc
ハイブリッド車 1,140kg 1,496cc
エスティマ AERAS 4WD ガソリン車 1,730kg 2,362cc
ハイブリッド車 1,950kg 2,362cc

ハイブリッド車に搭載されているバッテリーは小型車で30~40kg、エスティマで70kgほどの重量です。

もちろん技術の進歩もあり、プリウスは2種類のバッテリーが仕様によって使い分けられていて、ニッケル水素電池が40.3kg、リチウムイオン電池は24.5kgとバッテリー重量も段々軽くなっています。

今後さらにガソリン車とハイブリッド車の車両重量の差は小さくなっていくでしょう。

理由3:燃費基準以外の様々な規制に対する対応

燃費向上のみを考えれば、車両重量の軽量化は正しい方向性ですので間違いなく取り組まれています。

理由1、2に挙げたものは大きい流れで述べましたので、同じ車種で比較したデータを見ていただきましょう。

車種 車両重量 排気量 全長 全幅
カローラ8代目 1,020kg 1,498cc 4,285mm 1,690mm
カローラ9代目 1,060kg 1,496cc 4,410mm 1,695mm
カローラ10代目(アクシオ 1.5X) 1,130kg 1,496cc 4,410mm 1,695mm
カローラ11代目(アクシオ 1.5X) 1,090kg 1,496cc 4,360mm 1,695mm

これは、トヨタ・カローラ 1,500ccのモデルチェンジにおける比較をした表ですが、必ずしも車両重量は軽くなっていません。

乗用車を取り巻く環境には燃費規制以外にも様々な規制があり、燃費規制同様段々厳しくなっているということです。

下記に挙げたもの以外にも様々な規制がありますが、代表的なものについて解説したいと思います。

排出ガス規制

自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出量を規定したものです。

乗用車については2000年基準以降大きな変化はなく、昨今はディーゼル貨物車や2輪車の規制が強化されています。

先進安全自動車(ASV)推進計画

運転者支援システムにより交通事故低減を推進していく計画が定められています。

自動ブレーキや駐車アシストなどは最近の新車で搭載されるようになってきており、テレビCMで目にする機会が多いでしょう。

最近では国土交通省がバックガイドモニターの装備を自動車に義務付ける検討を始めたようで、今後更に普及は進むことが考えられます。

衝突安全基準

主に乗員保護を目的とした衝突安全基準については基準が厳しくなってきており、主とした対策は車体の剛性を上げる事です。

下表に示すように衝突試験も様々な形態で実施されている為、基準を満たさない車は世に出されることはありません。

新たな衝突基準が設定されるとそれに対応した車体剛性を上げるなどの対策を講じる必要があり、安全性が向上されるとともに車両重量の増加につながっているとも言えます。

試験名称 導入年 衝突速度 想定する衝突形態
フルラップ前面衝突試験 1994年 50km/h 単独または同型車の完全にラップした状態の前面衝突
側面衝突試験 1998年 50km/h 車同士の側面衝突
頭部歩行者保護試験 2005年 32km/h 歩行者が自動車と衝突したときの頭部と車両の衝突
チャイルドシート

前面衝突試験

2006年 50km/h チャイルドシートに拘束された状態での前面衝突
オフセット前面衝突試験 2007年 56km/h 50%ラップした同型車の前面衝突

まとめ

今回挙げた以外にも自動車のNVH特性と呼ばれる騒音・振動・快適性を向上させることにも自動車メーカーは注力しています。

これらの対策も当然のことながら車両重量増加の一因です。

昔の車と比較すると今の車は車両重量自体増加はしていますが、その裏には昔の車と比較して衝突安全性の向上や快適性の向上など様々な進歩を含んでいます。

もちろん軽量化の取り組み自体は行われているので、これだけ車の性能や乗り心地が上がっているのに車両重量はそれほど増えていないと考えるのが正解でしょう。

今後も新たに規制などに対応すべく自動車の車両重量が増加することがあるかもしれませんが、単純に前のモデルより重くなったと考えないで性能が上がった面にいま一度目を向けていただきたいです。

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