3度の飯よりクルマが好き!

FFとFR・4WDの違い!低燃費、居住性は?安全なのはどれ?

levorg

クルマの基本中の基本でもある駆動系式。FFや4WDはクルマに興味のない人でもカタログでご覧になったことがあると思いますが、MRやRRなんて聞いたこともない乗ったこともないという人は、少なくありません。

事実MRやRRは極端にスポーツに寄せてある車両ばかりなので、一般の人には馴染みのない駆動系式といえるでしょう。

そこで今回はカタログでよくお目にかかるFF・AWD・FRの作りや設計思想の違いから、安全で実用性の高いクルマとは何かを考えていきたいと思います。

FF車の特徴

FF車の長所短所を知る前に、簡単にそのメカニズムをおさらいしておきましょう。

FF車のメカニズム

FFはFront engine Front driveの略です。

文字通り、キャビンの前にエンジンがあり、左右に一体構造として組みつけられたトランスミッションを介して、左右の前輪にそれぞれ短いロッドで駆動力を伝えます。

エンジンは横置きにレイアウトされるのが一般的です。

後輪に駆動力を伝えない為、前のエンジンと後輪をつなぐプロペラシャフトはありません。

代表的な車種はホンダのフィットや、トヨタのヴォクシーなどです。

日本自動車工業会の調査によると、世の中の車の7割がFF車というのが実態です。

FF車のメリット

FF車の主なメリットは、大きなキャビン、フラットで低い床、低コストと言えます。

FF車の構造は、エンジンとトランスミッションが小型に作れ、前のエンジンと後輪を繋ぐシャフトが有りません。

法規や市場の駐車場サイズなどから、車の外形の最大サイズはあらかじめ決まっています。

その枠の中で、エンジンを横置きにレイアウトすることにより、キャビンの前側のエンコン(エンジンが納まっている部分)を短くすることが可能になります。

前後を繋ぐシャフトが無いということは、フロアにトンネルを作る必要が無く、低床化、フラット化できます。

結果として部品点数が少なくシンプルです。

FRに対して相対的に故障しにくく安いという良さも有ります。ミニバンや軽自動車がFFで作られるのはこういった理由からです。

1990年代は、FR方式であることが高級車の条件として語られることがありました。

その為、高級ミニバンである日産エルグランド(E51)やトヨタレジアスなどはFRでした。

2010年代に入り、キャビンの広さ、低床化を追求するため、エルグランドはE52から、レジアスに変わるトヨタアルファードもFFの方式で作られるようになっていったのです。

FF車のデメリット

一方でデメリットは走行性能、車両のデザイン性にあります。

とはいえ、走行性能については日常使いではほとんど気になりません。

サーキット走行などされる方はFR車との違いに気が付くと思います。FR車とはタイヤの使い方に違いが有ります。

コーナリング終盤で全開加速を始めるタイミングを少し早まってしまったシーンを想定して、前輪、後輪でタイヤの役割を整理してみましょう。

前輪の役割は

  1. エンジンによる駆動力(縦力)を路面に伝える
  2. 曲がる際のコーナリング力(横力)を出す

大きくわけて以上二つの役割があります。

タイヤは昨今、材料(ゴム)や設計手法(トレッドパターン等)が進化したとはいえ、所詮はゴムです。

タイヤメーカーの方には申し訳ない例えですが、消しゴムでノートの文字を消す時の事を思い出してください。

接触面積が同じであれば、動かす方向によらず消しゴムをこすり付ける力は同じです。

タイヤの場合、トレッド(溝)パターンにより多少の方向依存性はありますが、2トンもの車を支えることを考えると、消しゴム同様にこすり付ける(滑り始める)力はどの方向にも同じと考えて良いかと思います。

  • 図1タイヤの摩擦円(FFの場合・加速しながらコーナリングするシーン)

zu1

図1を見てください。タイヤの摩擦円というものでFF車を表しています。

円がタイヤの限界性能(摩擦力)をあらわしています。少し物理の知識が要りますが、タイヤにかかる力は

  • エンジン駆動力(縦力)
  • コーナリング力(横力)

の合力と考えます。

適切なスピードでコーナリングしている状態が黒矢印と黒丸、同じ大きさのコーナーですが、全開加速を早まってしまった状態が赤い矢印と赤丸で示してあります。

合力(斜めの矢印)が摩擦円から飛び出てしまうと、タイヤはグリップしなくなるなります。

この図の場合赤丸から赤矢印が飛び出している状態が、ハンドルをきっても曲がらないアンダーステア状態です

また、車は加速時に重量が後輪に偏る傾向があります。

タイヤの摩擦力(F)は、タイヤを地面に押し付ける力(m)に比例しますので(F=μm)、傾向としてFRの摩擦円が小さくなり、RRの摩擦円が大きくなります。

つまり、アクセルを緩めないとアンダーステア傾向から抜け出せないという事です。

デザイン面も不利

fiat500

デザインに関して、FF車はエンジンが横置きである場合が多く、また、トランスミッションも前後に小型に設計されます。

その副作用として、エンジン・トランスミッションが縦に大きくなります。

また、ドライブシャフトとの位置関係や、最低地上高を確保する為、機関部分を低くレイアウトできません。結果としてエンジンフードが高く、サイドビューでエンコン部分が分厚く且つ短い、ずんぐりしたデザインになる傾向があります。

デザインですので好みがあると思いますが、例えばメルセデスベンツAクラス(FF)とCクラス(FR)を比べてみてください。

上記の理由でCクラスの方が、いわゆる「ロングノーズ・ショートデッキ」(FRの特徴で紹介します)であり、シャープな印象に仕上がっています。

FF車でも(少し古いですが)アルファロメオ147、159のようにロングノーズ化を狙って作り込んだと思われるデザインもありますが、エンジンフードが高く、やはりFR車ほどのシャープさは出せていない、と思いませんか?

自動車メーカー各社がエンジンのダウンサイズ化を進める理由は、燃費だけでは無く、マーケットの主流となっているFF車のデザインを改善することも理由のひとつになっています。

FR車の特徴

FR車のメリットデメリット知る前に簡単にメカニズムをおさらいします。

FR車のメカニズム

FRはFront engine Rear driveの略です。

FF同様、文字通りの解釈でキャビンの前にエンジンがあり、FFの場合は左右でしたが、FRの場合は前後に一体で組みつけられたトランスミッションのレイアウトになります。

後輪の車軸にプロペラシャフト、デフを介して左右の後輪にロッドで駆動力を伝えます。エンジンは縦置きにレイアウトされるのが一般的です。

エンジン~トランスミッションが前後にレイアウトされる為、エンコン部分が前後に長くなります。

代表的な車種はトヨタのクラウンや日産のスカイライン等の高級車や、トヨタ86、ホンダS2000といったスポーツカーです。

世の中の車の1割がFR車です。

FR車のメリット

FR車の主なメリットは、走行性能の高さ、静粛性の高いキャビン、そしてデザイン性の高さがあります。

走行性能について、FRも普段使いではなかなか差を体感できないものですが、タイヤの使い方の違いを整理してみます。

FFのデメリットを整理したときと同じ様に、コーナリング終盤で全開加速を始めるタイミングを少し早まってしまったシーンを想定して、前輪、後輪でタイヤの役割を整理してみます。

  • 図2タイヤの摩擦円(FRの場合・加速しながらコーナリングするシーン)

zu2

前輪の役割はFFの場合と異なり、曲がる際のコーナリング力(横力)を出すのみです。後輪でエンジン駆動力を路面に伝えます。FRの場合のタイヤの摩擦円図2を見てください。
理解しやすくするために、コーナリング力(横力)とエンジン駆動力の矢印、摩擦円の大きさはFFのときと同じで描いてみました。

FFでは合力(斜めの矢印)が摩擦円をはみ出し、タイヤの限界を超えてしまっていたのに対して、同じ速度、コーナリングでFRはわずかに余裕が残っています。

このタイヤの使い方の差によって、コーナリング速度、立ち上がり加速に差が生まれます。FFと同じ条件で比較した場合、限界性能が高く、安全に速く走れるということです。

静寂性も高い

2つ目に、FR車は静粛性の面で構造的に有利です。

走行時騒音は大きく3つあります。

  1. タイヤからのロードノイズ
  2. 風きり音
  3. エンジンからの振動音

先の2つにFF/FRで大差はありませんが、エンジンからの振動音の伝わり方には大きな違いが有ります。

FF車はエンジンの駆動力を前輪に伝えますが、その前輪を介し、ステアリングコラムを伝達経路として室内へ振動音を伝えてきます。

一方でFR車は、エンジンの振動はトランスミッションを介して後輪に伝わるため、FF車より静かな車が作りこみやすくなります。

FRはカーデザインの伝統

mustang

最後にデザイン性です。FRはエンジン、トランスミッションの構造としてはシンプルである為、1960年代以来の名車は殆どがFRです。

カーデザインのお手本とされるシャガーEタイプやフォードマスタングの時代から、ロングノーズ・ショートデッキのデザインはカーデザインの伝統といえます。

エンジンは縦置きでその後方にトランスミッションがレイアウトされる為、エンジンフッドの高さを低く抑え、ローアンドワイドなデザインも可能になり、4輪で路面をしっかり捉えた力強いデザインが作り込み易くなります。

FR車のデメリット

ここまでのお話でお分かりの様に、FR車は構成する部品が多く重く原価の高いものになりがちです。

特徴であるプロペラシャフトをキャビン中央のフロア下を前後に通すため、フロアにトンネルが必要です。つまりフラットフロア化が難しくなってきます。

FRのミニバンであるE51型の日産エルグランドやトヨタレジアスはフラットフロア化するために床面高を上げて対応していました。

その分キャビンの広さは損なわれ、乗降性も悪くなります。

また、プロペラシャフトは比較的小型のFR車であるトヨタ86のものでさえ13kgもの重量があります。

大トルクのエンジン、大型車両の場合は、強く長くするため、重量は20kgを超えるものもあります。エンジン駆動力はプロペラシャフトを回すために浪費される為、燃費も悪くなる傾向にあるのです。

このように現代の低燃費と大きなキャビンをFRが実現しにくいこともあり、よりコンパクトで室内が広く低燃費なFF自動車が主流となっていったのです。

4WD車の特徴

FF車次に馴染みのある4WDもはじめにメカニズムをおさらいしましょう。

4WDのメカニズム

4WDは4 Wheel Driveの略です。AWD(AはALL)とも呼ばれます。

4輪を駆動させる為、エンジンの駆動力を効率よく路面に伝える事ができます。

ぬかるみの多い林道や雪道等、トラクションの抜けやすい路面を走行する際に有効である為、トヨタランドクルーザー等のSUVに採用されています。

また、加速性能の良さから日産GTR等のスポーツカーにも採用されるなど、幅広いジャンルの車に採用される駆動系式です。

この駆動系式はFF、FRそれぞれをベースにして4WD化されます。

先に述べたとおり、FF車にはプロペラシャフトが無いため、FRをベースにする場合に比べて、プロペラシャフトが追加される点が主な違いです。

4WDの形式としてはセンターデフ方式、直結方式と大きく2つあります。

最近の主流は直結方式で、これにクラッチを組み合わせて前後輪のトルク配分を可変制御する方式がほとんどです。

その為、ベースとなるFF、FR車の基本的な性能差を除いて比較すると4WDとしてのシャシー性能は差が出にくいのが実態です。

世の中の2割が4WDですが、昨今世界中のスバルの人気を考えると、2割の内の8割以上がFFベースの4WDと考えてよいでしょう。

FFレイアウト4WDモデルの特性

harrier

メリットとデメリットは、先に述べたFF車の性質を受け継ぎます。ここではベース車と違う点に絞りたいと思います。

デメリットは、ベースのFF車に対して追加部品が多く、また重量増のための補強をする為、ベース車との価格差が大きくなります。

2WDと4WDの価格差は、アウディA6で約50万円、同クラスのメルセデスE300では約30万円で、FFベースは価格差が大きくなります。

FRレイアウト4WDモデルの特性

jimmy

FFベースの場合と同様に、メリットとデメリットはFR車の性質を受け継ぎます。

価格はベース車の価格が高い事もあり、FRベースの4WDは高級車が殆どである事がデメリットです。

メリットはSUVの場合、2つあります。

エンジンレイアウトの特徴からショートオーバーハングであり、アプローチアングルが大きく取れる点。

また、FR独特のエンジンフードの低さから、手前まで良好な視界が確保できます。ステアリングの切れ角が大きく、悪路走破性はFFベースよりよい条件が揃っています。

駆動系式の違いで室内の広さは変わるか?

4WDのベース構造により室内の広さは実はあまり変わりません。

同クラスの車両で、FFベースのアウディQ5とFRベースのメルセデスGLCを比べると、下記の通りです。

一般的にカタログに記載されている寸法で比較すると③の差27mmと、これだけだと比較的大きく、Q5のほうが優れている様に見えます。

しかし、これはデザインやフロア、サスペンションの影響を受けてしまい正しい比較にはならない為、④で比較してください。

差は1%でFR車のほうが4WDを作るには効率が良いとも解釈できますが、(誤差と考えて)ほぼ同じです。

1 全高 2 最低地上高 3 居住空間(前席座面~天井) 4 居住空間率=③÷(①-②)
アウディQ5(FF) 1660 205 1043 72%
メルセデス・ベンツGLC(FR) 1645 180 1070 73%

FFとFRの大きな違いはプロペラシャフトの有無でした。

FFベースであろうと、4WDの場合はセンタートンネルが出来てしまい、FRのようなフロア構造になります。上の表に示した数値だけではなく、乗降性という面でも同様に(悪く)なるという事になります。

駆動系式別・バランスのとれたおすすめ車種

FF車:アウディ・A3

FF車の場合、アウディA3を選びます。

理由は、FFなのに高いデザイン性、キャビンおよび荷室の広さ、エンジンとトランスミッションの良さです。

エンジンをダウンサイズ化し、また、レイアウト改善することにより、ショートオーバーハング化され、フードの高さも低く押さえ込むことが出来ています。

FFでありながらシャープなデザインで、昨今のアウディ人気がデザイン性の高さを裏付けています。

一方、キャビンは上級車種のA4とほぼ同等で、その差は荷室に現れますが家族4人のであれば2泊3日程度であれば何とか納まります。

エンジンは子気味よく回り、それに組み合わせられるSトロニック(デュアルクラッチトランスミッション)によりとてもスポーティーな走りが出来、高速道路や山坂道でドライバーは退屈しません。

FR車:トヨタ・クラウンアスリート

FRの場合は、トヨタクラウンアスリートを選びます。

理由は、FRらしい力強いデザイン性、室内の高い静粛性、エンジンの良さです。

30~40代の男性の場合、FR車といえばメルセデスやBMWが候補になりがちですが、Cクラスや3シリーズで迷っている場合は候補に加えるべき車です。

言うまでも無く、日本の車として長い歴史のあるクラウンブランドをしっかり認識させるグリル、ロングノーズであり、4輪をしっかり路面に押さえつける様な、フェンダーの力強いキャラクターラインがとてもFRらしさを強調しています。

車に乗り込むと、静粛性の高さがドアを閉じた瞬間に感じられます。静粛性だけでなく、シートのすわり心地、内装の素材の良さ、つくりの丁寧さがこの車の歴史を感じさせます。

エンジンは2L~3.5L、ハイブリッドから選択できますが、レクサスISと共用している2Lターボエンジンがすばらしく、小排気量にも関わらず十分にトルクがあり、非常に高いレスポンスでスポーティーなドライブが出来ます。

静粛性が高い車ですが、エンジン高回転時の音は心地よく、気持ちを高めてくれます。

4WD:スバル・レヴォーグ

4WDの場合、スバルレボーグを選びます。

理由は、FFベースにも関わらずFRライクなデザイン、キャビンおよび荷室の広さ、エンジン・シャシーの良さです。

スバルは水平対抗エンジンが特徴ですが、シリンダーが水平にレイアウトされている為、横に広く薄型のエンジンです。その為、エンジンフードを低く抑えることが出来、FRライクなデザインが実現できています。

基本構造はFFである為、キャビンは広く確保できています。

荷室も広いため、A3が狭くもう少し荷室が欲しい場合はこの車も検討してもいいですね。

走行性能は折り紙つきで、トルクフルなエンジンで4WD性能はスポーツ走行にも雪道等悪路走行にも申し分なしです。

最後に、スバルは予防安全技術(アイサイト等)がある点でもこの車を選びたくなります。

まとめ

すこし理屈っぽい内容になってしまいましたが、駆動系式の違いを理解するだけでクルマ選びがずっと楽しくなります。

車は広さか、静寂性か?

もしもの時の限界性能を重視するか?

あなたの生活や予算に合わせて納得のいくクルマ選びの一助となれば幸いです。

スポンサーリンク