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VW up!(アップ)ってどう?性能と評判と徹底解説!

VW up! (アップ)VWのラインナップの中で最もコンパクトなサイズで、国内では2006年に廃止されたLupo(ルポ)の後継モデルです。

日本には2012年に導入開始され、発売当初は輸入車としては破格の150万を切る価格と、エマージェンシーブレーキの全車標準装備が話題となりました。

日本でも使いやすいAセグメントクラスながらもVWらしいデザインや安全装備を持ち、国産コンパクトカー並みの価格を持つup!の商品力は強力です。

それでもup!はゴルフやポロを上回るほど売れてはいません。

大ヒットを期待されながらも、何故か人気車になれないup!の実力を徹底解説します。

VW up!とはどんなクルマ?

欧州では馬車時代に作られた狭い路地を持つ都市が多く残り、小さなクルマのニーズが少なからずあります。

up!はこうした欧州でのニーズに応えるだけでなく、道路環境が似ている日本や南米などの新興国でも、VWのエントリーモデルとして販売されるグローバルモデルです。

コンパクトなサイズは全長3545mm×全幅1650mm×全高1495mm、軽自動車規格に対し+145mmの全長、+150mmの全幅となり、ホンダ・フィットやトヨタ・アクアより一回り小さいボディになります。

軽量化と安全性を高めるため、ボディの7割近くに超高張力鋼板やホットプレス材を採用。

接合にはスポット溶接よりも強度が高いレーザー溶接を使い、ユーロNCAP(欧州の公的自動車安全評価)で最高レベルを獲得した乗員保護性能と、1トンを切る車重を両立しています。

エクステリアはVWらしいシンプルさ

エクステリアはVWらしいシンプルでクリーンなラインで構成され、過剰な装飾を廃した斬新で道具感のあるデザイン。

マイナーチェンジでフロントバンパーのくり抜きの形状がH型に変更され、質感とVWのファミリー感が増しています。

リアハッチはスマホやタブレットを意識した全面ガラス製で、シンプルながらも特徴があり印象に残るデザインです。

インテリアもシンプルそのもの

インパネには控えめなエアコンとオーディオの操作パネルが付き、センターコンソールの下はシンプルな収納スペースでナビゲーションは外付けです。

インパネのカラーパネルやシートカラーは6色あるボディカラーに合わせてグレーやベージュ、レッドの各色との組み合わせになります。

運転席シートは固定式のヘッドレストが付いたファブリックシートですが、平板な見かけによらずサポートや座り心地は良好です。

国産車のベースグレードでは真っ先に省かれる、シートリフターとステアリングのテレスコピックとチルト機構が残されているのはVWの良心を感じます。

ホイールベースは2420mmと軽自動車並みなので、室内空間は大人4人が乗れる最低限のサイズです。

ラゲッジ容量は251L(後席利用時)~951L(最大)で、フロアの表裏をひっくり返せばラゲッジから段差のないフラットな荷室となります。

標準装備される安全装備

安全装備は以下の通りです。

  • 30km/h未満の走行で追突回避と被害軽減「シティエマージェンシーブレーキ
  • トラクションコントロール機能とアンチロックブレーキを組み合わせた横滑り防止装置(ESC)
  • 急ブレーキ時にブレーキランプを自動点滅「エマージェンシーストップシグナル
  • フロントとサイドの4つのエアバック

上記が全車標準装備になります。

up!のグレードとオプション

パワーユニットは1.0リッターMPIエンジンで、可変バルブタイミング機構付の直列3気筒4バルブDOHC、スペックは75ps/6200rpm、最大トルク:9.7kgm /3000-4300rpmです。

アイドリングストップ、ブレーキエネルギー回生システムを備え、燃費は25.9km/Lとなります。

パワーは控えめですが1トンを切るボディには十分で、モタモタすることはありません。

トランスミッションはマニュアルをベースとした5速シングルクラッチのASG(Automatisiertes Schaltgetriebe)で、オートマチックとマニュアルの二つのモードでドライブが可能です。

2ドアはベースグレードのmove up!のみ(受注生産)4ドアは2ドアと同装備のmove up!と充実装備のhigh up!2グレード構成です。

グレード 価格 主要装備
move up! 2ドア \1,548,000
  • マニュアルエアコン
  • RCD215(CDプレーヤー、MP3再生、AM/FMラジオ)+2スピーカー
  • ハロゲンヘッドランプ
  • 14インチスチールホイール+フルホイールキャップ
  • リアフォグランプ、
move up! 4ドア \1,756,000
high up! 4ドア \1,890,000
  • パークディスタンスコントロール(リア)
  • 6スピーカー
  • クルーズコントロール
  • マルチファンクションインジケーター
  • シートヒーター
  • レザーステアリング&ハンドブレーキノブ
  • 15インチアルミホイール
  • フロントフォグランプ

装備は必要最低限で、メーカーオプションも電動パノラマスライディングサンルーフのみです。

ナビゲーション純正アクセサリーのポータブルナビゲーションをダッシュボード上に設置します。

シリコンカバーなどで内装カラーと合わせられますが、純正専用の機能はなく、社外品やスマホでも代用は可能です。

内装面で物足りなさを感じるようであれば、センターコンソール、パワーウィンドウ、シフトカバーパネル、ルームミラーカバーなどをボディカラーと合わせてコーディネートできるキットが準備されています。

up!は何故評判が悪いのか?

これだけのスペックを持ちながらも、人気は爆発的とはいえずup!の評価も賛否両論です。

ASGトランスミッションが曲者

国内不振の理由の一つはASGトランスミッションの仕上がり。

5速マニュアルミッションのクラッチとシフト操作を自動で行うシステムですが、通常のオートマチックトランスミッションのスムーズさはありません。

オートマチックモードで加速するとシフトチェンジの際にトルク抜けがあり、クラッチの繋ぎもラフなので、初心者ドライバーのようなギクシャクした動きが発生します。

構造上クリープ現象もないので、坂道発進では小さくない不安がよぎります。

マニュアルモードを使用し、シフトタイミングに合わせてアクセルを抜けばスムーズに走れますが、コツをつかむまでには練習が必要です。

AT専用免許でも運転できますが、マニュアルの運転経験がないと上手に運転することが難しいでしょう。

ASGはトルコン式やCVTよりも動力伝達効率も高く、VWが得意とするツインクラッチ式のDSGよりも大幅に軽量なのでup!には最適なミッションです。

しかしシフトショックの少ないイージードライブに慣れた日本人には向いていません。

簡素な装備

もう一つは割り切りすぎともいえる簡素な装備です。

2ドアのリアサイドウィンドウは開閉できないはめ込み式、4ドアの後席ドアウィンドウは下げられず、昔懐かしい手動のチルト式で隙間が開くだけです。

パワーウィンドウスイッチはそれぞれのドアにしか無く、運転席から助手席のウィンドウ操作ができず、オートスイッチもありません。

high up! でも、エアコンはマニュアルで、ドアミラーはリモコンで調整できますが格納は手動式です。

up!の発売当初は画期的だったシティエマージェンシーブレーキも、150万円クラスの軽自動車に同等な機能が装備されるようになり、先進性も薄れています。

コンパクトカーとは思えないVWらしい高剛性なボディとセンスの良いエクステリア、リニア感のあるハンドリングや安定感のある乗り心地など、VWがコストをかけて作りあげたup!の大きなメリットも、こうしたデメリットでかき消されてしまっています。

イタリア車やフランス車などであれば、趣味性の高い運転操作も「味」になるのですが、ゴルフやポロなど優等生イメージの高いVWだけに「裏切られ感」が大きいのも理由の一つです。

まとめ

FIAT500、ルノー・トゥインゴなどヨーロッパ製コンパクトカーには、共通して独特の割り切りがあり、up!もクルマ本来の性能は高めつつも装備などは割り切っています。

走行性能は多少フラフラしても装備や見栄え、イージードライブを大切にする多くの日本人にとっては、欧州車のこうした割り切りには”?”マークが付くだけで理解できません。

マニュアルモードでキビキビ運転できるようになれば、ズルズル滑りダイレクト感の希薄な国産車のCVTより操る楽しさを感じられ、高速での安定感は国産コンパクトカーとは比較になりません。

大型車よりも厳しいコストの縛りの中で走行性能の基本となる強靭なシャシーや足回り、安全装備などは手を抜かず、質素な内装でもコンパクトカーらしい運転の楽しさを追求するのが欧州の価値観です。

up!は万人にはお勧めできませんが、運転が好きな人でフィーリングが合ってしまえば、愛着のわく1台になるモデルです。

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